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問14 ぎっくり背中 (怪我2)

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 競輪選手(S級)である宇根秀俊選手が、突然「ぎっくり背中」になった。ぎっくり腰ではなくて、ぎっくり背中である。腰よりも少し上の部分(背中)が突然痛み、動くのが困難な状態であった。トレーニング場でお会いしたので背中を診させてもらったが、第10-12胸椎レベル右側の傍脊柱筋が非常に硬直していた。また同部位の肋間筋も同様の状態であった。
 この症状出現の前に、1日110キロのロードのトレーニングを行い、頸部に違和感を感じていたそうである。その直後、競輪の補充(選手の欠場等で地元選手が試合に召集されること)で予定外のレースを2本走った数日後に起こったという。
 
 そんなこと誰にでもあるでしょう?とお思いかも知れませんが、その後の経過が実に興味深かった。
 
 背中が痛くなった当日、宇根選手は整形外科を受診した。レントゲンを撮られて湿布のみ渡されたという。「整形外科にいったらまあ・・こんなもんよ」とおっしゃって笑っていたが、一番良くない様々な病態をまずルールアウト出来たはずだ。
 次の日(発症後1日目)、行きつけの接骨院に行ったそうである。その治療中は少し痛みが減ったそうであるが、帰宅すると痛みはほぼ元通りで、その足でトレーニング場に顔を出された。そこで私が診た状態が上述の如くである。痛みはかなり強く、体幹の前屈は不可能であった。疼痛回避の側弯が出ていた。臀部、肩甲帯、頸部の筋肉の緊張は触診上なかった。
 「そのうち治るよ!」とコーチや大学生が人ごとのように言っていたが、「1週間後がレースやから、そんなのんきな事言ってられん!」と宇根選手。
 
 次の日(発症後2日目)鍼治療を受けた。それも治療中は痛みが軽快したそうであるが帰宅するとまた元通りの痛みだったそうである。
 
 次の日(発症後3日目)、別の接骨院を受診し、低周波治療を受けた。この治療の頃から痛みが軽減してきたという。
 
 発症後4日目、再度トレーニング場でお会いしたが、「完全復活!!」「もう85%には回復した!!」とスクワットを含むほぼfull menuのトレーニングをこなしていた。「こんなのに痛いのは久しぶりやった。プロになって2,3回目かなあ・・。」と大笑いされていた。
 
 「どの治療で治ったと思いますか?」って質問すると、「接骨と鍼はその時だけ痛みが取れた。痛み止めみたいなものかな・・?。今回は低周波が効きました」と答えられた。私は、初めの症状を診ていただけに、驚異的な回復だな・・と正直思った。
 
 結局何が効いたか分からない。しかし、宇根選手の「早く治さないといけない。治りたい」という気持ちと、治療側の「早く治さないといけない。治したい。」という双方の情熱と工夫で治ったような気が私にはした。
 
 
 整形外科は得てして重症の運動器疾患しか興味がない。「ぎっくり腰」なら3週間で治ると大学でも教わる。本人の自然治癒力のみに期待して、積極的な「手当」をしない。
しかしプロのようにスポーツが生業の場合は違う。プロは日々、自己管理しながら自動的(前向き)にスポーツと関わりながら生活している。受動的(与えられる)に関わりながら生活していない。多くのアスリートや体育関係者の特徴でもあろうが、怪我をした時に選手は積極的な「手当」を要求する。この初期治療が予後を変えることを、私は多くの例で体験してきた。
 
 貴方が怪我をした時はどうしますか?自然に治るのを待ちますか?どこの医療機関に行きますか?その時は人任せですか?貴方自信が治ろうと努力しますか?
100人100様で、痛みの程度や範囲は同じ人はいません。同じ臨床経過も1例も無いでしょう。
この宇根選手の例はある1例です。これが貴方には当てはまりません。でも今ある痛みから逃れられる1つのヒントになるでしょう。痛みを克服する方法はいろいろあります。なにもせずに、じっくり休むのも方策でしょう。どの方法を選択して(または選択せずに)、「早期に復帰するか」一度真剣に考えてみたいですね。

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