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問2 イレギュラーのすすめ

 

kamogawa0-51.jpg技術練習にて
問1.イレギュラーのすすめ
 
 平成20年の医科学生体育大会全国大会で、我が愛媛大学バレーボールチームが優勝した。医学系という限られた大学生の大会での快挙である。
愛媛大学医学部のバレーボール部は部員29人で、練習は週に3回のみである。当然医師・看護師になるためのカリキュラムに日々追われ、学業第一の環境のもとにスポーツが行われている。医師・看護師になるという最終目標が設定されているので、学生生活を謳歌(スポーツに遊びにアルバイトなど)しながら生活リズムを守らなくてはいけない。
医学部の体育館は創立30年ほど経つ粗末なものである。ワックスがけもめったにしないので床の状態も決して良いとは言えない。光沢もない。wet感がなく、カサカサであるので、いいバレーボールシューズを履いてもよく滑る。雨が降っている日は、ツルツルしてスパイク練習は危なくてできない為、専らレシーブ練習のみとなる。しかし、普段からこのような「イレギュラー」に慣れているため、大きな大会においても、いい体育館の「床」で滑ることはない。
床が滑りやすいという「イレギュラー」な条件が、日常の「レギュラー」なのである。試合ではいつもより足元がきいていてしっかりプレイができる。汗で少々足元が滑ってもへこたれない。普段の体育館の方がよほど滑るからである。
 
 
よく「練習の為の練習をするな!」「試合を想定して練習しろ!」等という言葉を聞く。しかし練習と試合と何が根本的に違うのだろうか?
私は単純に「練習ではイレギュラーがない」ということに尽きると思う。
試合の時は、まず精神状態がイレギュラーである。いつもとは随分違う。負けたら終わりであるからだ。また時間の都合ではプレイをできない。自分たちの思うように、自由気ままにプレイすることができないのだ。例えばアウトドアのスポーツならば天候やグランドの土・芝の状態もいつもと違う。野球では、ノックの練習中にイレギュラーなバウンドのロゴが出たとしても、皆それに気を留めず練習を続ける。次のノックでは正確なゴロがくると思っているからである。正確なゴロを捕り、的確に一塁に投げると何となくうまく繋がった気もして、また皆でうまく処理できた気がして、いい練習ができた気になる。
ところが試合ではイレギュラーなゴロから話が始まるのだ。
 
インドアであれば体育館の床の微妙な感触や天井の高さ、観客席などがいつもと違う。
例えばバレーボールのスパイク練習で、いつもの気の知れたセッターが正確な平行トスを上げてくれる。正確なAクイックをあげてくれる。これにしか慣れてない選手は試合の時のイレギュラーなトスに対応できない。
愛媛大学医学部のバレー部では、セッターのトスが乱れた時こそ点に繋がるスパイクを打とう!と徹底している。試合でトスが乱れると相手の守備は甘くなる。正確なトスが上がれば当然ブロックは2枚以上付いているであろうし、守備陣形のフォーメーションも出来上がっている。こんな時はなかなか点に繋がらない。セッターのトスが乱れた時こそチャンスである。敵は油断している。このような「隙間(すきま)」を大切にするか否かで勝敗は分かれる。であるから練習中もセッターのトスが乱れたときこそスパイカーの力の見せ所である。
こういう気持ちで日々練習に取り組んでいれば、何かの選抜チームなどで召集されて、見ず知らずのセッターに変わっても、難なく打てるものなのだ。
 
野球に例えると、キャッチャーが変わった途端変化球が決まらなくなる投手などお話にならない。昨年のWBCでアメリカと日本のボールの重さの違いを克服するために、色々な重さのボールを使って練習しているプロの投手がテレビで紹介されていた。日常にイレギュラーを入れている見習うべき工夫であると思った。普段の練習でイレギュラーをわざと作り出すことも肝要である。
 
野球の練習を地下足袋でしている高校の特集もあったがこれも面白い。例えば君がバレーボールやバスケットボールをしているならば、体育館の床に水でもまいて滑るようにして練習しろ!・・とまでは言わないが、時に専門のシューズを履かず普通の体育シューズでしてみてはどうだろうか?陸上競技の短距離選手には、スパイクのピンなど磨り減ったままでも構わないし、先が鈍くなればやすりで削ればいいだけのことだ、と私は言いたい。時にはピンを3、4本にして走ってみるのも面白いかもしれない。あなたが中距離の選手ならオールウエザーのトラックを一度裸足で全速力してみるのもよい。体験していれば、万一シューズが脱げてもへこたれない。試合で想定できるイレギュラーを超えるイレギュラーを日常の練習で用意するのだ。ボールもスパイクもボロボロでいい。このようなイレギュラーにびくともしない選手は当然ながら強い。
 
 
磨き上げられた体育館の快適な空間で、親切な指導者の元、気心の知れた仲間たちとのんびり練習していても、試合での条件はまるで異なる。体調が悪くなったり、気分が乗らなかったりすることも練習kamogawa0-76.jpg中にはあるだろう。しかし、それが試合中なら?体調不良を訴える?仲間の士気をも下げる?それも仕方のないことかもしれない。
しかし、普段から「イレギュラー」を想定し経験していれば、万全の体調かつ強い精神力で試合に挑むことができるはずだ。「イレギュラー」とは前述した例に限らず、体調や精神の状態をも含むのである

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